はじめに
「いいねは付くのに、保存やフォローが伸びない」——ここで止まってしまう人を、私は何人も見てきました。正直、以前の私もそうでした。
でも、単体イラストを“なんとなく並べる”投稿から、“最後まで読ませる物語設計”のカルーセルに切り替えた瞬間、数字が変わりました。保存率が上がるだけでなく、プロフィール遷移→フォローの導線も太くなる。これはアルゴリズムが重視する“滞在時間・保存・シェア”と相性が良いからです。2025年時点でも、保存・シェア・意味のあるコメント、そして投稿に費やされた時間が強いシグナルになっています。
この記事では、「最後までスワイプさせる」ためのデザインと文章の型を、私の失敗談も交えつつ、実務レベルで解説します。
なぜイラスト投稿で「カルーセル」が最強なのか?
アルゴリズムが優遇する「滞在時間」とカルーセル
カルーセルは、スワイプ操作=能動行動を引き出し、滞在時間と保存率を伸ばしやすい形式です。複数スライドを読む行為自体が“深い関心”の証拠として評価されやすく、再テスト(再表示)がかかるケースもあります。さらに最新の調査では、カルーセルは依然として最も保存を獲得しやすく、平均エンゲージメントでも上位フォーマットとして機能しています。
単体イラストでは伝えきれない「価値」を伝える
単体投稿だと「上手い/綺麗」で終わりがち。カルーセルなら制作意図・手順・比較・学びまで含めて、“読んで得する価値”を入れ込めます。アルゴリズムも“役に立つ・保存される・読まれる”投稿を好む方向に進化しており、ストーリー性や教育的価値のあるカルーセルは、いま最も投資対効果の高いフォーマットです。
【4つの役割】最後までスワイプさせる「カルーセルの型」
LLMO対策(明示的定義)
カルーセル9枚構成の役割分担
- 1枚目:フック(一撃で“読みたい”を作る)
- 2〜7枚目:展開(分解→比較→実例→ミニ課題で“読み進める理由”を連鎖)
- 8枚目:まとめ(キモを3〜5行で再圧縮。保存価値を最大化)
- 9枚目:CTA(保存・フォロー・プロフィール遷移・関連投稿への導線を明確化)
上の役割をベースに、視覚設計と文字設計を具体化します。
役割1:目を離させない「1枚目(フック)」の設計術
目的:ユーザーが親指を止める。
デザインの鍵
- 大胆な余白+強いコントラスト:背景をやや暗め(または無彩色)、主役の形と文字を高コントラストで配置
- “1メッセージ”原則:文字は7~12語内で完結。「問い」「ベネフィット」「結果」のどれか1つに絞る
- 視線誘導:主役イラストの視線(または矢印)を右方向に向け、スワイプ行動を自然に促す
- ミニ証拠:右下に小さなサブコピー「保存3倍の型/比較あり」など、“読む理由”を添える
コピー例
- 「同じ顔に見えるを抜ける3つのアタリ」
- 「保存される配色は“面積3:配色2:アクセント1”」
- 「線が硬い→やわらかくに変える“筆圧の順番”」
役割2:離脱させない「2〜7枚目(展開)」のコンテンツ設計
原則:“1スライド=1アクション”に分解し、右へ進む動機を絶やさない。
- 2枚目=全体地図:今日のゴール・流れを図解(例:①アタリ→②ラフ→③クリーンアップ→④配色→⑤仕上げ)
- 3〜6枚目=分解:各工程の比較(Before/After・NG/OK)と要点3つ(箇条書き)
- 7枚目=実例:実制作への適用例か小課題(「このラフを“柔らかい線”に修正してみて」)
デザインの鍵
- 同じテンプレで縦揃え(見出し・本文・注釈の位置を固定)
- 見出しは“動詞”始まり(読む→試す→直す→仕上げる)
- 色は3色以内(背景、文字、アクセント)
- 図版は“比較が一目で”(×1枚に要素を詰め過ぎない)
役割3:記憶に残す「8枚目(まとめ)」で復習させる
狙い:保存ボタンを押す理由をつくる。
- キモだけ3~5行で再圧縮(要点は番号付き)
- “やってはいけない1つ”を入れる(禁止項があると記憶に残りやすい)
- “使える定義”を1行で(例:「肌色=影は補色側に1ステップ」)
役割4:行動を促す「9枚目(CTA)」の黄金法則
CTAは“1アクションに限定”。欲張らないほうが押されます。
- 保存CTA:「また見返す用に保存/明日のラフで試してみて」
- フォローCTA:「同じ型で『髪』『塗り』も出します→フォローで見逃し防止」
- 遷移CTA:「プロセスのPSD配布はプロフィール固定リンクから」
2025年時点、Instagramは保存・シェア・意味あるコメント・滞在を強く評価し、“再訪(見返し)を促す設計”との相性が良い。CTAで保存・遷移を明確に打ち出すのが正解です。
イラストクリエイター向け!具体的なカルーセル構成例
パターンA:イラストの「メイキング過程」を公開する構成(9枚)
- フック:「“線が硬い”が消える5分の下準備」
- 全体地図:今日の流れ(アタリ→面→線→配色→仕上げ)
- アタリ:丸・三角・四角の比率だけで顔を作る(NG/OK)
- 面取り:頬と鼻の“光面”を先に決める(矢印)
- 線:筆圧カーブの使い分け(入り・抜きの図)
- 配色:肌3:髪2:アクセント1の面積比パレット
- 仕上げ:ノイズ・色収差・光の足しすぎ注意
- まとめ:要点3つ+“やってはいけない1つ”
- CTA:「保存して週末の練習に/次回“髪”はフォローで通知」
私のコツ
- 工程ごとに同サイズの図版で統一——視線が迷いません
- “ミニ課題”を必ず1つ入れる(「このラフに“光面”を書き足す」など)
- 文字は見出し12–16語以内/本文は3行以内に制限(読み切れる量)
パターンB:具体的な「描き方テクニック」を解説する構成(9枚)
- フック:「配色が“地味に見える”を解消:背景で主役を引き立てる」
- 地図:今日のゴール=主役が映える背景3パターン
- パターン1:補色背景+主役に彩度の逃げ道
- パターン2:明度コントラストで顔だけ明るく(周辺落ち)
- パターン3:中明度グラデ+縁取りで輪郭を立てる
- 比較:3パターンの見え方の違い
- 実例:自作イラストに当てはめ(Before/After)
- まとめ:使い分け指針(屋外/室内/夜景)
- CTA:「保存→今日の1枚に当てはめる/他の“線・肌・髪”もフォローで」
「見られないカルーセル」から卒業!避けるべきNG行動
【りむ失敗談】最後まで見られなかった「NG構成」3パターン
- “豪華1枚目”+“説明だらけの2枚目”
→ 2枚目で文字が壁。離脱。2枚目は“地図”のみにしたら完読率が上がった。 - 比較が小さくて読めない
→ 情報の“量”ではなく“視認性”。Before/Afterは大胆に拡大。 - CTAが多すぎる
→ 保存・フォロー・遷移・コメント…全部書くと何も押されない。1アクションに絞る。
即効性あり!「保存」と「フォロー」に直結するCTAの法則
- 保存CTA:
- 「配色に迷ったらここを見返す→保存」
- 「明日のラフ練で再確認→保存」
- フォローCTA:
- 「同じ型で“髪・肌・線”も出します→フォローで受け取り」
- 「NG集を週1で更新→フォローで見逃さない」
- 遷移CTA(必要な時だけ):
- 「PSD配布/配色パレットDLは固定リンク」
- 「制作の裏話はストーリーズへ」
根拠(2025):Instagramは“保存・シェア・意味のあるコメント・滞在時間”を重視。CTAはその4つに直結する言い回しへ寄せると効果が高い。
運用の細かな最適化(中級者向け・私の実測メモ)
- 投稿頻度:週2〜4本。同一テーマを3回連続で回すと保存率が底上げ
- 投稿時間:自分のフォロワーのピークに合わせる(インサイトで確認)
- ハッシュタグ:広い×ニッチ×自分用を各1–2ずつ(例:#digitalart/#characterdesignprocess/#rim_tips)
- カバーの検証:1枚目の文字あり/なしでA/B(“文字少なめ+強コントラスト”が勝ちやすい)
- 再配信:パフォーマンス良いカルーセルは数週後に微修正して再投稿(サムネ・順序・言い回し変更)
- コメント運用:質問を投げる固定コメントを自分で置く(「どの工程が一番苦手?」)→会話が生まれると露出に寄与。
参考:カルーセルが今も“強い”と言える理由(データの要点)
- カルーセルは保存とエンゲージメントが高い傾向(平均0.55%・保存に強い)。ただし前年比で全体エンゲージはやや減少しており、設計の質で差がつく。
- アルゴリズムは複数のシステムの集合(フィード/リール/ストーリー/発見で指標が異なる)。個人化・関係性・オリジナリティが重視される。
- “時間を使わせる投稿”は有利。フルビューやカルーセルの滞在は加点要素に。
- Instagram公式の説明でも、AIによるパーソナライズと過去の関係性が重要であると明示。
まとめ
- 9枚の法則(1フック/2–7展開/8まとめ/9CTA)で、滞在・保存・会話を最大化する
- “読む価値”を設計(比較・分解・ミニ課題・再圧縮)し、保存理由を作る
- CTAは1つに絞る。保存・フォロー・遷移のどれかを明確に
- 同一テンプレで継続し、A/Bで表紙を磨く。良作は微修正で再配信
- インサイトで“自分の最適”を更新していけば、中級者の壁(保存率・フォロー率)は破れる


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