「描く技術」はすでに十分。遅いのは“設定と流れ”のせいかもしれません。
本稿は、覚えるのが苦手でも“仕込んでおけば勝手に速くなる”ことだけを厳選。締切前の自分を救った“根本時短”をまとめます。
描く前から差がつく!「設定」で時短を極める3つの基本
1. 最強アシスタント「クイックアクセス」徹底活用術
狙い: よく使う機能・色・オートアクションを1クリックで呼び出す。
やること: メニュー [ウィンドウ]→[クイックアクセス] を表示し、ボタンに好きなツール/コマンド/オートアクション/描画色を登録。セットを複数作って“用途別タブ”で切り替えると、パネル往復が消えます。公式ガイドにも「お気に入りの工具・コマンド・オートアクション等を登録できる」と明記。
私の“神ボタン”例(抜粋)
- ツール:投げ縄塗り/自動選択(領域拡張つき)/消しゴム(ベクター交点まで)
- コマンド:変形(自由変形・メッシュ)/左右反転表示/レイヤー結合(下)
- アクション:下地レイヤー生成→クリッピング→塗りつぶし準備
- 色:影用“乗算20%”の定番4色
この時短術でカットできる時間(推定):
パネル移動・メニュー探しを1操作あたり3~5秒短縮。1枚あたり10~15分圧縮。
2. ショートカットは「修飾キー」に割り当てよ
狙い: カーソル移動の“手間”をゼロに。
やること: [ファイル]→[ショートカット設定]で、Ctrl/Alt/Shift+数字・記号に“ツール切替/サブツール切替/不透明度上下/ブラシサイズ上下/前後の手順”を集中配置。
- 推奨:Alt+ホイール=ブラシサイズ、Ctrl+Alt+ドラッグ=回転/ズーム(自分の手癖に一致させる)
- サブツールは“線画用ペン”“下書き青”“面塗りブラシ”を隣接キーへ。押しっぱなし=一時切替も積極活用。
この時短術でカットできる時間(推定):
ツール切替の視線移動・クリックを1回あたり1~2秒短縮。1枚あたり5~10分圧縮。
線画・着色の地獄を終わらせる!塗り&ベクター爆速テクニック
「ベクターレイヤー」は線画修正の神。その活用法
狙い: 線画修正を“やり直し前提”で速くする。
やること: 線画はベクターレイヤーで。後から制御点の移動・追加・削除/線幅調整/不透明度調整/分割が可能。公式ヘルプの“コントロールポイント”で列挙されている通り、線幅調整や交点までの消去などが強力です。
要点:
- ベクター消しゴム「交点まで」…線の交点まで一気に消えるので、はみ出し処理が一括完了。
- 線幅だけ後から細く/太く…“線そのもの”を引き直さず解像感だけ整えられる。
- ゴミ取り…小ゴミは“線補正(ごみ取り)”で一掃(フィルタ/補正ツール)。
失敗談(E): ラスター線画で消し跡のギザつき→修復で沼。ベクター化後はやり直し前提で迷わなくなり、結果“決断が速い”。
この時短術でカットできる時間(推定):
線の描き直し・消し込みを1修正あたり10~30秒短縮。1枚あたり15~25分圧縮。
塗り残しゼロへ!「バケツツール」の究極設定
狙い: 1クリックで“ほぼ終わる”下塗りを作る。
やること: バケツは「他レイヤーを参照」+「隙間閉じ」を必ずON。サブツール詳細で参照範囲(すべて/参照レイヤー/選択レイヤー/同フォルダ)を選び、隙間閉じの強さと色のしきい値を上げる。公式ヘルプでも“参照レイヤーや隙間閉じ等をツールプロパティ/サブツール詳細で調整可能”と明記。
私の初期値(目安):
- 参照先:参照レイヤー(線画レイヤーを“参照レイヤー”に設定)
- しきい値:35~45、隙間閉じ:25~40
- エリア拡張(膨張):1~2px(はみ出さず“塗り漏れ”を隠す)
- 角の丸み:0~10(線のテイスト次第)
注意: 背景用の線画が別フォルダにあると“参照外”になるケースあり(同フォルダ参照設定などで回避)。
この時短術でカットできる時間(推定):
“面の手塗り”を1色あたり20~40秒短縮。1枚あたり20~30分圧縮。
ワンクリックで自動化!オートアクション導入のススメ
「レイヤー整理」オートアクションの作り方(初心者向け完全版)
狙い: “毎回やってるだけの操作”を全部自動に。
やること: [ウィンドウ]→[オートアクション]を開き、新規セット→新規アクション→記録開始。
以下を順番に操作→記録停止すれば完成:
- 下塗りフォルダ作成→クリッピング用レイヤー作成
- 線画を参照レイヤーに指定
- バケツ設定(前章の数値)を適用
- 影用レイヤー(乗算20%)とハイライト(ソフトライト/オーバーレイ)を生成
- 書き出し設定のプリセット読込(PNG/RGB・350dpiなど)
ポイント: クイックアクセスにこのアクションボタンを登録すると、下地~影の器までワンクリック。公式ヘルプでも“繰り返し作業を記録・自動化できる”と説明。
この時短術でカットできる時間(推定):
下準備~整理を1枚あたり5~8分短縮。連作時は1時間以上の差に。
素材を探す前に「オートアクション素材」を探せ
狙い: 既製の“職人プリセット”を借りて一瞬で戦力化。
やること: CLIP STUDIO ASSETS(アセットストア)で“Auto Action”“時短”“レイヤー整理”“下塗り”等で検索し、評価の高いアクションを導入。
- 例:ベクター下絵の自動クリーンアップ/塗り残し強検出/書き出し名ルール化 など
- 自分の手順に1~2手だけ足して“自分アクション”に仕上げるのがコツ
この時短術でカットできる時間(推定):
ゼロから組むより1本あたり30~60分短縮。量産体制なら累計で数時間。
ワークスペースは「用途別」に切り替えよう
狙い: “作業ごとに最適レイアウト”を保存して迷いを消す。
やること: [ウィンドウ]→[ワークスペース]→[ワークスペース登録]。
下書き用/線画用/塗り用/仕上げ用を別々に登録し、クイックアクセスに呼び出しを置く。公式マニュアルにもワークスペースの登録・切替が案内されています。
配置のコツ:
- 下書き:キャンバス広め、レイヤー最小、ナビゲーター+カラー大きめ
- 線画:サブツール詳細・ツールプロパティを縦長に(手元確認を早く)
- 塗り:レイヤー・カラー履歴・混色・サブビューを近接配置
- 仕上げ:ヒストリー・レイヤープロパティ(効果)・書き出しパネル
この時短術でカットできる時間(推定):
パネル再配置・探し回りを1セッションあたり3~5分短縮。長時間作業で体感の疲労も減。
まとめ:無駄な時間を減らし、創作に集中しよう!
- クイックアクセス×ショートカット×ワークスペース=“手を止めない”三種の神器。
- ベクターレイヤーで消し・線幅・交点処理を後取りする発想に切替。
- バケツの「他レイヤー参照」「隙間閉じ」を基礎に、参照先と閾値を作品ごとに最適化。
- オートアクションで“毎回やってるだけの手順”をワンクリック化。
今日のチェックリスト(5分)
- クイックアクセスに自分の神5機能を登録
- 線画はベクターに切替、消しゴムを交点までに
- バケツを他レイヤー参照+隙間閉じでプリセット化
- レイヤー整理オートアクションを1本録ってボタン登録
- 線画用ワークスペースを1つだけ保存


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