はじめに:あなたのイラスト、安売りしていませんか?
「Skeb、始めてみたはいいものの…自分のイラスト、一体いくらに設定すればいいんだろう?」
この記事を読んでくれているあなたも、きっと同じような悩みを抱えているのではないでしょうか。
安すぎると「自分の価値ってこんなものなのかな…」って悲しくなるし、かといって高く設定しすぎて、誰からも見向きもされなかったらどうしよう…。そんな不安がぐるぐると頭の中を駆け巡りますよね。
わかります。めちゃくちゃわかります。 何を隠そう、私自身がその「価格設定」という名の沼にどっぷりとハマり、もがき苦しんだ経験者の一人だからです。
Skebは、クリエイターにとって本当に素晴らしいプラットフォームです。自分の作品を正当に評価してもらい、創作活動の糧を得られる。まさに夢のような場所です。
でも、その第一歩である「料金設定」でつまずいてしまうと、せっかくの創作意欲が削がれてしまったり、最悪の場合、描くこと自体が辛くなってしまうことさえあります。
あなたのその大切な作品、そして創作にかける情熱を、不当に安売りしてほしくない。
この記事は、そんな想いを込めて書いています。 Skebの料金相場という、あってないようなものを追い求めるのではなく、あなた自身が「これなら納得できる!」と思える価格を見つけるための、具体的な考え方とステップをお伝えします。
この記事を読み終える頃には、きっとあなたは、料金入力フォームの前で固まることなく、自信を持って自分の作品の価値を提示できるようになっているはずです。
さあ、一緒に「あなただけの適正価格」を見つける旅に出かけましょう!
【結論】Skebの「決まった」料金相場はない!でも目安はある
まず、一番大事なことからお伝えします。 驚くかもしれませんが、Skebには「運営が定めた公式の料金相場」というものは、一切存在しません。
「え、じゃあこの記事の意味は…?」と思われたかもしれませんね。大丈夫、ちゃんと最後まで読んでください(笑)。
Skebの最大の魅力は、その自由度の高さにあります。 価格は完全にクリエイター自身が決めることができます。1,000円で描く人もいれば、30万円で描く人もいる。それがSkebの世界なんです。
これはつまり、「あなたの作品の価値は、あなた自身が決めていい」ということ。 誰かに「君の絵はこのくらいの値段が妥当だよ」なんて言われる筋合いはないんです。すごくクリエイターファーストな考え方ですよね。
とはいえ…! 「自由に決めていいよ!」と広い野原に放り出されても、どこに向かって走ればいいのか分からなくなってしまうのが人間というもの。
そこで、多くのクリエイターたちが自然と参考にしている「事実上の相場」、あるいは「目安」というものが存在します。
これは、たくさんのクリエイターとクライアントのやり取りの中で、なんとなく形成されてきた「このくらいのクオリティなら、大体このくらいの金額感だよね」という共通認識のようなもの。
まずはこの「目安」を知ることで、自分の現在地を把握し、価格設定の大きなヒントを得ることができます。 次の章で、具体的な金額を見ながら、あなたの活動スタイルに合った料金帯を探っていきましょう。
活動スタイル別!Skebイラスト料金の目安
ここでは、クリエイターの活動状況やスキルに応じて、大きく3つのステージに分けて料金の目安をご紹介します。 自分がどこに当てはまるか、考えながら読み進めてみてくださいね。
【初心者向け】3,000円~10,000円
- こんな人におすすめ!
- Skebを始めたばかりで、まだ依頼を受けたことがない。
- まずは実績を積んで、ポートフォリオを充実させたい。
- 自分の画力にまだ自信がないけど、挑戦してみたい。
この価格帯は、いわば「Skebの世界への入場券」のようなもの。 クライアント側も「まずは気軽にお願いしてみよう」と考えやすい価格帯のため、依頼を受けられる可能性がぐっと高まります。
主な依頼内容としては、
- SNSのアイコン
- キャラクターのバストアップ(胸から上)
- シンプルな立ち絵
など、比較的描き込み量の少ないものが中心になります。
この時期に大切なのは、お金を稼ぐことよりも「依頼を受けて作品を完成させ、納品する」という一連の流れを経験することです。 クライアントからの温かいメッセージや、自分のイラストが実際に使われているのを見た時の喜びは、何物にも代えがたいモチベーションになります。
ただし、注意点も。 この価格帯は依頼が来やすい反面、あまりに安すぎると後々自分の首を絞めることにもなりかねません。(この話は、後の私の失敗談で詳しくお話しします…!) 最低でも3,000円は下回らないように設定するのが、自分の心を守るためにもおすすめです。
【中級者向け】10,000円~30,000円
- こんな人におすすめ!
- Skebでの納品実績が10件以上ある。
- SNSのフォロワーが数千人以上いる。
- リピーターのクライアントがついてきた。
- 自分の作風やクオリティに自信がでてきた。
このステージにいるあなたは、もう立派な「Skebクリエイター」です。 自分の作風を好きでいてくれるファンがいて、「あなたに描いてほしい」という具体的なリクエストが増えてくる頃でしょう。
依頼内容も、よりクオリティを求められるものが多くなります。
- キャラクターの全身イラスト
- 簡単な背景付きの一枚絵
- 複雑な衣装やポーズの指定
など、あなたの画力を存分に発揮できるような依頼が中心になります。 1万円を超える価格設定は、クライアントからの「クオリティへの期待」の表れでもあります。その期待に応えることで、さらなる信頼と評価に繋がっていきます。
自信を持って、1万円の壁を越えてみましょう。 あなたの作品には、それだけの価値がもう備わっています。
【上級者・人気クリエイター向け】30,000円~
- こんな人におすすめ!
- 独自の作風が確立されており、多くのファンに支持されている。
- SNSでの影響力が大きい(フォロワー数万人規模など)。
- Skebだけでなく、同人活動や商業案件などでも活躍している。
このレベルになると、もはや「相場」という概念は意味をなさなくなります。 あなたの作品そのものがブランドであり、価格はあなたが自由に設定できます。5万円、10万円、中には30万円以上で依頼を受けるトップクリエイターも珍しくありません。
依頼内容も、非常に高いクオリティを求められるものがほとんどです。
- 描き込みの非常に多い、観賞用の美麗な一枚絵
- 複数のキャラクターが登場する複雑な構図のイラスト
- クライアントのこだわりが詰まった、世界観を表現する作品
ここまで来ると、Skebは単なるお小遣い稼ぎではなく、創作活動を支える大きな柱の一つになっているはずです。 クライアントも「このクリエイターさんを応援したい!」という強い気持ちで高額な依頼を送ってくれます。まさに、クリエイターとファンの理想的な関係と言えるでしょう。
ここまで読んでみて、いかがでしたか? 「自分はまだ初心者だから…」と卑下する必要は全くありません。誰もが最初は初心者です。 大切なのは、自分の現在地を正しく認識し、次のステップを目指していくこと。
しかし、ここで一つ、私の苦い経験談をお話しさせてください。 特に、今「初心者」のステージにいるあなたにこそ、聞いてほしい話です。
【失敗談】「3,000円の沼」…安請け合いの末路
あれは、私がSkebを始めたばかりの頃でした。 右も左もわからず、とにかく「誰でもいいから私の絵を依頼してほしい!」その一心でした。
当時の私は、自分の絵に全く自信がありませんでした。 「こんな絵にお金を払ってくれる人なんているんだろうか…」 そんな不安から、私は一つの過ちを犯します。
「そうだ、誰よりも安くすればいいんだ!」
そう考えた私は、Skebの最低設定金額に近い「3,000円」で募集を開始しました。 SNSで「Skeb始めました!今なら3,000円でアイコン描きます!」と宣伝したところ…
――ピロン♪
驚いたことに、すぐに依頼を知らせる通知が届いたのです。 「やった!本当に依頼が来た!」 有頂天になった私は、夢中でそのイラストを仕上げました。納品すると、クライアントさんから「素敵なイラストをありがとうございます!」と温かいメッセージが。
その成功体験に味を占めた私は、次々と3,000円の依頼をこなしていきました。 依頼が来るたびに承認欲求は満たされ、まるで人気クリエイターになったかのような錯覚に陥っていました。
しかし、その幸せな時間は長くは続きませんでした。
ある日、ふと気づいたんです。 「あれ…? 最近、お絵描きが全然楽しくない…」
毎日毎日、通知に追われるように依頼をこなし、まるで工場のライン作業のようでした。 3,000円という価格では、複雑な装飾品や難しい構図をリクエストされても断る勇気がありません。「この値段でワガママ言うな」と思われるのが怖かったのです。
1枚のイラストを仕上げるのに、5時間かかったとします。 Skebの手数料(当時は約10%)を引かれると、手元に残るのは約2,700円。
時給に換算すると、わずか540円。
コンビニのアルバイトより、はるかに安い金額で、私は自分の技術と時間を切り売りしていたのです。 大好きだったはずのお絵描きは、いつしか「こなさなければいけないタスク」に変わり、私の心と体をどんどんすり減らしていきました。
お金のため、承認欲求のため。いつの間にか、私は創作活動の目的を見失っていたのです。 これが、私が経験した「3,000円の沼」です。
この経験から、私は骨身にしみて学びました。 安すぎる価格設定は、百害あって一利なし。 それは、クライアントのためにも、そして何より、自分自身のためにもならない、と。
- モチベーションが続かない。
- 技術や時間を安売りすることで、自己肯定感が下がる。
- 「安ければ誰でもいい」という質の低い依頼が集まりやすくなる。
- 一度つけた安いイメージを覆すのは、非常に難しい。
もしあなたが今、過去の私と同じように「安ければ依頼が来るかも」と考えているなら、一度立ち止まってください。 あなたの作品には、あなたが生きてきた時間、費やしてきた情熱、そしてこれから輝く未来、その全てが詰まっています。
それを、時給数百円で手放してはいけません。
では、どうすれば自信を持って「適正な価格」をつけられるようになるのか。 次の章で、具体的な3つのステップをご紹介します。
自信がない人必見!自分の「適正価格」を見つける3ステップ
「失敗談はわかったけど、じゃあどうすればいいの?」 「自信がないのに、高い値段なんてつけられないよ…」
そんな声が聞こえてきそうです。大丈夫。ここからは、誰でも実践できる「自分だけの適正価格」を見つけるための、具体的な方法を3つのステップに分けて解説していきます。
STEP1:まずは「作業時間」を時給換算してみる
一番客観的で、納得しやすい価格の決め方が、この「時給換算」です。 これは、自分の創作活動を「お仕事」として捉えるための、とても重要な第一歩になります。
やり方は簡単です。
- あなたの希望時給を決める
- 難しく考える必要はありません。まずは、近所のコンビニやカフェのアルバイトの時給を参考にしてみましょう。仮に「時給1,200円」と設定します。これは、あなたが自分の時間と技術に対して要求する、最低限の対価です。
- イラスト1枚あたりの平均作業時間を計る
- 今まで描いたイラストを思い返してみてください。だいたい1枚仕上げるのに、何時間くらいかかっていますか?ラフから完成まで、ストップウォッチで計ってみるのが一番正確です。ここでは仮に「6時間」かかるとします。
- 掛け算する
- あとは、この2つを掛け合わせるだけです。
- 時給1,200円 × 作業時間6時間 = 7,200円
- あとは、この2つを掛け合わせるだけです。
どうでしょうか? 7,200円。これが、あなたの最低限の価値を保証する「ベース価格」になります。
これに、Skebのサービス手数料(約10%)が引かれることを考慮すると、8,000円くらいに設定しておくと、手元に時給分の金額がしっかり残ることになります。
「え、8,000円なんて高すぎる…」と感じましたか? でも、これはあなたが費やした時間に対する、正当な対価です。 このベース価格を知っておくだけで、「少なくとも、これ以下で受けるのはやめておこう」という、自分を守るための防衛ラインを引くことができます。
STEP2:憧れのあの人はいくら?競合リサーチのコツ
自分のベース価格がわかったら、次は市場調査です。 他のクリエイターが、どのくらいの価格で依頼を募集しているのかリサーチしてみましょう。
ただし、やみくもに眺めるだけでは意味がありません。 リサーチには、ちょっとしたコツがあります。
- 自分と「画力」や「作風」が近い人を探す
- 神絵師さんの価格を見ても、参考にはなりますが、直接的な目標にはしづらいですよね。それよりも、「この人くらいの絵が描けるようになりたいな」「この人の絵柄、好きだな」と思える、少しだけ先を走っている先輩クリエイターを探すのがポイントです。
- SNSの「フォロワー数」が近い人を探す
- フォロワー数は、クリエイターの知名度や影響力を示す一つの指標になります。自分と同じくらいのフォロワー数の人が、どのくらいの価格設定をしているかを見てみましょう。
- 最低3人~5人ほどピックアップして、平均値を出す
- 一人だけを参考にすると、その人が特殊な例である可能性もあります。複数人の価格をリストアップして、その平均値を出すと、より客観的な「相場感」を掴むことができます。
このリサーチを行うことで、「自分の画力なら、このくらいの価格でも依頼が来る可能性があるんだ」という自信に繋がります。 STEP1で算出したベース価格と、リサーチ結果を照らし合わせて、自分の価格を調整していきましょう。
STEP3:「ちょっと高いかな?」くらいが丁度いい
STEP1と2を経て、ある程度の価格の目星がついたと思います。 最後に、一番大切なマインドセットをお伝えします。
それは、「自分が思うよりも、少しだけ高く設定する」ということです。
特に、私たち日本人は謙遜の文化が根付いているためか、自分の価値を低く見積もってしまう傾向にあります。 「いやいや、私なんてまだまだだから…」 その気持ちが、あなたを「3,000円の沼」へと引きずり込むのです。
思い出してください。 価格は、あなたの作品の価値を示すメッセージです。 安すぎる価格は、「私には自信がありません」「この程度のクオリティです」と、自ら宣言しているようなもの。 そんな自信なさげなクリエイターに、クライアントは魅力を感じるでしょうか?
逆に、少し強気な価格設定は、 「私は、この金額に見合う価値を提供します」 という、プロとしての覚悟と自信の表れです。 その堂々とした姿勢が、クライアントに安心感と期待感を与え、結果的に質の高い依頼を引き寄せることに繋がります。
もちろん、最初は怖いと思います。 「本当に依頼が来るかな…」と、不安で何度もページを更新してしまうかもしれません。
でも、大丈夫。 Skebの料金は、いつでも自由に変更できます。 まずは「ちょっと高いかな?」と思うくらいの価格で3週間~1ヶ月ほど様子を見て、もし全く反応がなければ、その時に少しだけ見直せばいいのです。
これは、あなたの価値を市場に問いかける「テストマーケティング」です。 失敗を恐れずに、まずは堂々とあなたの価値を提示してみましょう!
依頼が来ない…そんな時の料金設定見直し術
「勇気を出して価格を設定してみたけど、全然依頼が来ない…やっぱり高すぎたのかな…」
そんな壁にぶつかることもあるかもしれません。 でも、そこで「やっぱり私には無理だったんだ」と、すぐに大幅な値下げに走るのは絶対にやめてください!
依頼が来ない原因は、必ずしも「価格」だけとは限りません。 他の部分に、見過ごしている問題点が隠れている可能性が高いのです。 値下げという最終手段に手を出す前に、まずは以下のポイントを見直してみましょう。
- ポートフォリオは充実していますか?
- Skebのページに、あなたの魅力が伝わる作品が十分に登録されていますか?最低でも5枚、できれば10枚以上、自分のベストだと思う作品を並べましょう。クライアントは、あなたの過去の作品を見て依頼するかどうかを決めます。
- プロフィールや募集要項は分かりやすいですか?
- 「何を描くのが得意なのか(少年、少女、メカなど)」「どんな作風なのか(アニメ塗り、厚塗りなど)」「NGなものは何か」が、一目でわかるように書かれていますか?クライアントが安心して依頼できるよう、情報は具体的かつ丁寧に書きましょう。
- SNSでの宣伝活動はしていますか?
- ただSkebの募集をONにしているだけでは、なかなか人の目には留まりません。「Skeb募集中です!」という告知はもちろん、普段から自分のイラストを投稿して、活動を見てもらうことが何よりの宣伝になります。
- 募集を再開するタイミングは適切ですか?
- 多くの人がスマホをチェックする、平日の夜(20時~23時)や、週末に募集を再開すると、依頼に繋がりやすい傾向があります。
これらの項目を一つ一つ見直し、改善していくだけで、状況が大きく変わることはよくあります。
それでも状況が改善しない場合は、価格の見直しも検討しましょう。 ただし、その場合も単なる値下げではなく、価値を下げない工夫をすることが大切です。
- 期間限定のキャンペーンを試す
- 「今週末限定!10%OFFでご依頼受け付けます!」のように、期間を区切ることで「今お願いしなきゃ損だ」という気持ちを後押しできます。恒常的な値下げではないため、自分の価値を安売りすることもありません。
- 新しいプランを追加してみる
- 例えば、「キャラクター1人・背景なし」のシンプルなプランを、少し安価な価格で追加してみるのも一つの手です。クライアントが選びやすい選択肢を増やすことで、依頼のハードルを下げることができます。
「依頼が来ない」という現実から目を背けず、冷静に原因を分析し、一つずつ対策を打っていく。 この地道な作業こそが、Skebで稼ぐための最短ルートなのです。
まとめ:自信を持って、あなたの価値を届けよう!
ここまで、Skebの料金設定について、本当にたくさんのことをお話ししてきました。 最後に、これだけは覚えておいてほしい、というメッセージを伝えます。
Skebの料金設定は、単なる「数字決めゲーム」ではありません。 それは、あなたがこれまで創作に注いできた時間、情熱、そして技術のすべてを、自分自身で認め、価値を宣言する神聖な行為です。
あなたが決めた価格は、あなたの自信の表れです。 自信を持って提示された価値には、必ずそれを認めてくれる人が現れます。
最初は誰だって怖いものです。 「この値段で本当にいいのかな…」 その不安な気持ち、痛いほどわかります。
でも、この記事で紹介したステップを一つずつ試してみてください。 自分の作業時間を計り、時給を計算してみる。 憧れのクリエイターの価格をリサーチしてみる。 そして、ほんの少しだけ勇気を出して、背伸びした価格をつけてみる。
その小さな一歩が、あなたを「3,000円の沼」から救い出し、創作活動をより豊かで、楽しいものに変えてくれるはずです。
価格設定に、たった一つの正解はありません。 試行錯誤を繰り返しながら、あなた自身が「これなら頑張れる!」「描いていて楽しい!」と思える、自分だけの「心地よい価格」を見つけていってください。
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